ブックタイトル青葉山植物図鑑

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概要

青葉山植物図鑑

巻頭言 福井県高浜町とは平成27年3月26日に薬用植物栽培に関して、公益社団法人東京生薬協会及び国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所との三者に於いて「薬用植物国内栽培の促進に関する連携協定」を締結しました。 締結に至るまで経過として、平成24年度に高浜町産業振興の観点から、第三セクター㈱いきいきタウン高浜が青葉山麓の有用植物調査を実施し373種類がリストアップされました。このデータを基に、平成25年度に有用植物の保全及び活用を図る組織として「青葉山麓研究所」が設置され、「観光薬草園マスタープラン」が構築されました。この中では、青葉山の特性として高山・亜高山性植生、温帯性植生、温暖帯植生の三特性を有する植生が狭い面積に集約されていることが確認され、このような事例は希少であることが示されことにより、薬草を含めた有用植物の持続的な利用と野生集団の保護の両立に係る基本計画の推進に大きな弾みをつけることとなりました。 しかしながら生命関連商品である薬草の利活用に関しては「医薬品医療機器等の品質有効性及び安全性の確保等に関する法律(旧薬事法)」の法規範が大きな位置付けを占め、自治体独自の事業推進には困難を伴うことが判り、青葉山麓研究所による薬業界の調査と交渉の中で東京生薬協会との縁を持つことが出来ました。協会としては平成26年度に2度の高浜町訪問を行い、事前調査と役員による視察をさせて頂き連携協定の締結に至りました。 その後本年度(9月現在)まで約月1回の指導の中で23種の試験栽培が行われ、この間医薬品メーカーとの太いパイプも構築され、大学等の研究機関とも共同研究を行うなど事業展開を行う上で確かな基盤づくりを確立しました。その中で特筆すべき品目は、ゴシュユとコウホネであり、これは青葉山麓研究所によるご案内の中、高浜町内における薬用植物資源調査の中で見出した品目です。いずれも漢方処方においては重要な生薬であり、国内に於いて生産実績のない稀有の生薬です。 薬用植物の国内栽培に関しては、厚生労働省・農林水産省も補助金事業を伴う推進を図っているところであり、国策としてもその位置付けが確立されている。その施策に沿って全国レベルで栽培が展開されている中、地域振興の必須の条件として地域特産種の確立は大きな要素です。生薬業界の競争原理の中、地域ブランドの確立は極めて重要な位置づけといえます。そのためには高浜町の自然環境が薬草栽培にとってどれだけの特性を持っているかを知ることは重要な要素ととらえ、薬用資源植物の調査を実施し、図鑑の作成に至りました。 上記調査結果及び高浜町における試験栽培品目も加え紹介しました、青葉山麓研究所によるご案内の中高浜町内における3回の調査、町内の植物研究家による聞き取り調査、㈱いきいきタウン高浜が青葉山麓の有用植物調査報告書を根拠としてリストアップしました。約500品目が見いだされましたが、これはまだ過程ととらえています。今後の調査の中でさらなる品目の追加が確実であることを明言します。公益社団法人 東京生薬協会 薬用植物国内栽培事業委員長 国立大学法人 信州大学 特任教授 小谷 宗司