ブックタイトル青葉山植物図鑑
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青葉山植物図鑑
青葉山植物図鑑では薬用で用いられる植物を日本薬局方収載植物、薬草、有毒植物の3種に分類して紹介しました。身近なところに存在する薬用植物であるが、それを利用するに当たっては医薬品という生命関連物質であることを忘れてはなりません。くすりとしての利用価値はありますが、使用方法の間違いや種の同定の間違いなどは重大な事故にもつながります。多くの薬用植物は法律によって厳しい規格等がもうけられています、安易な営業行為等も罰則の対象となります。●日本薬局方収載植物 日本薬局方とは、医薬品の性状及び品質の適正を図るため、医薬品医療機器等法(旧薬事法)第41条に基づき、厚生労働大臣が定め公示する医薬品の規格基準書です。収載医薬品については日本国内で繁用されている医薬品が中心となっており、その性状および品質の適正をはかるため、品質・純度・強度の基準を定めた公定書です。収載品目の多くは漢方薬の原料として用いられているものや民間薬の中でも使用頻度の高い品目等です。ここでは、高浜町に存在する日本薬局方(17改正)に収載されている薬用植物を紹介します。なお、自生種だけではなく、栽培植物についても町内に普通に見られるもの、更には試験栽培品目等も含めました。●薬用植物民間薬として伝承的に用いられてきたものです。日本の国土にあって通常地域ごとにその植生は異なりますが、地域に生育する身近な植物をくすりとして利用してきた歴史があります。そのため民間薬は地域性がとても強い印象があり、また、薬用としては見向きもされなかった植物が、ある地域ではくすりとして用いられてきたという事例もあります。近年外国との物流の増加に伴い、帰化植物も極めて多くなりました。原産国の欧米等ではくすりとして用いられてきた種もあり、これらも含めて紹介しました。●有毒植物 古くには薬用として用いられてきたが、副作用が強く現在では用いられないもの、農業・衛生分野で今ほど農薬が無かった頃、殺虫剤などに用いられてきた種、更には昨今の山菜ブームに伴い中毒事故を引き起こした種などを中心に紹介しました。また、園芸種の中には強い毒性を持ったものもありますので注意が必要です。薬用植物各論科名と種名の根拠●科名の根拠 植物分類については、花の構造の違いなど形態分類に基づく新エングラー体系やクロンキスト体系に私達は慣れ親しんできた。植物分類学や成分分析などは大きくみれば自然科学の一部であり、自然科学の分野は近年急速に進化しつつあります。 1990年代以降にDNA解析による分子系統学が大きく発展してきたことにより、植物の分類体系もこの手法を試みる研究が分類学において主流になりつつある。新しい知見はAngiosperm Ph ylogeny Gr oup(APG) に提案され、2009年に改良公表されたAPGIII分類体系により整理された。APG IIIでは単子葉植物と双子葉植物の大別が消え、双子葉植物の離弁花類と合弁花類との区別もなくなり、科の配列が大幅に変わり、新設の科、消滅した科、あるいは内容が変更された科も多くある。旧分類体系に慣れ親しんだ私達には多少の違和感もありますが、APG III分類体系に基づいて記載しました。●種名の根拠 植物を医薬品として用いる以上「医薬品としての生薬」でも記述しましたが、種の同定はとても重要な要素です。2014年7月に日本は医薬品のGMP査察業務に関する国際的枠組みであるPIC/S (PharmaceuticalInspection Convention and PharmaceuticalInspection Co-operation Scheme) に加盟しました。この制度のなかで薬用植物は学名での確認を求めています。植物の学名の国際的な基本図書である「国際植物命名規約」に基づき、2003年に米倉浩司・梶田忠による植物名検索システムが公開されました。本図鑑では当該システムであるBG Plantsの標準名を採用しています。その結果、欄外に記載した日本薬局方収載の学名とは異なるケースが出てきますが、局方は植物の学術書ではなく法令であるために生じる差異とされています。