ブックタイトル青葉山植物図鑑
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青葉山植物図鑑
●民間薬と漢方薬民間薬とは、日本の各地に伝承的されてきた薬草療法で、この中で用いられる生薬(しょうやく)を漢方薬に対して民間薬と言います。一般に煎じて用いるところからしばしば漢方薬と混同されがちであるが、似ているのは煎じて飲むという形式上のことだけで、多くは薬草を単味(一種類)で局所に効かせる方式であり、漢方の用い方とは異なりますが、原料に用いられる生薬は民間薬と共通するものも多いです。 民間薬は遠い昔から今日まで、私たちに伝えられた経験による素朴な形の治療薬の総称です。私たちの祖先が、狩猟で山野をかけめぐり岩石などで傷をしたとき、たまたまそばにあった草の葉で傷口を覆ったら良く効いたとか、魔除けの目的で身体に付けていたものが次第に体内に採り入れられ、飲んでみたらすばらしい効果があったとか、また色や形などの想像から「くすり」としたり、力の強い動物にあやかって自分も強くなろうとして、それを食べたなどの生活に必要な経験が基礎となって集大成されたものが、今日の民間薬として伝承されているものと考えられます。もっぱら経験的で効果は漠然としているが、危険性が少なく身近な所で容易に入手できるものが多いです。 漢方薬は中国から伝わった漢方医学の理論に基づいて、日本で独自に発展した医薬品の総称です。複数の生薬が組み合わされており、生薬の組み合わせに対し「葛根湯」などと漢方薬(方剤)命名があります。漢方医学の特徴は身体全体を診るところにあり、「証」という概念を持って漢方薬を用います。●医薬品としての生薬生薬とは、主に疾病の治療の目的で用いられる天然物そのものか、あるいは簡単な加工を施したもので、科学的操作を加えないで用いる様々な草根木皮・禽獣虫魚などを言い、植物その他を調製して薬用として使用できる状態になったものの総称です。もちろん民間薬もその中に含まれます。大きく分けて、植物性生薬・動物性生薬・鉱物性生薬の三種類に分類されます。 一番多様なものは植物性生薬で、全草を用いるものの他根や皮・果実・蕾・花・葉を用いるものなどがあります。動物性生薬は全体を用いることもありますが、多くは胆嚢や角などの動物の器官が用いられます。鉱物性生薬では石膏・硝石・龍骨・硫黄等が利用されています。 疾病を改善するために用いるものであるから、利用するときに有効成分が確実に含有するものでなければならなく、そのためには薬草を医薬品に加工するため薬用植物総論のいくつかの知識が必要となります。 最も重要なことは基原植物を確認することであり、目的とする植物でなければ全く効果がありません。間違えて有毒植物を利用すれば大きな事故につながることもあります。植物分類の知識がそれほど普及していなかった頃においては、同属植物は同様の効果を持つとされ利用されたり、また、良く似た植物を間違って用いることもありました。 そのために近年、基原植物の考え方が大きく変わり、医薬品である性質上、種を特定して薬用に利用することが求められています。種を決めるのが学名(リンネの二命名法)であり、ラテン名の記述になっています。 次いで大切なことは、使用する部位の確認です。薬用とされているものは植物全体に効能があるとの印象を受けがちですが、用いられる部位は基本的に決まっています。例えば樹皮、内皮、根、根茎など特定の部位に多くの薬効があることが経験的に知られています。また、部位ごとに有効成分の季節変動があることが実験で確かめられています。さらに、加工方法(修治)も大切な工程であり、正しい加工法を施さなければ薬効が失われたただの草木になりかねません。 このような手順により調製されたものが生薬であり、多くは生薬名で取り扱われます。効能効果はすべてこの生薬名に属したものと云えます。科学的に証明されたものの中には別の種が同一の生薬名で表記されることがあります。例えばオオバノキハダ、ヒロハキハダ、ミヤマキハダの内皮は「黄柏・オウバク」の名で医薬品として取り扱われます。 ここでは、高浜町に存在する薬用植物を紹介します。確認した種は500余種に及びますが、その中でも代表的なものを取り上げて説明します。なお、自生種だけではなく、栽培植物についても町内に普通に見られるものや、現在試験栽培として取り組んでいる品目も含めて紹介しました。 身近なところに存在する薬用植物であるが、それを利用するに当たっては医薬品という生命関連物質であることを忘れてはなりません。多くの薬用植物は法律によって厳しい規格等がもうけられています。生薬であっても重要なものや流通量の多い品目は「日本薬局方」に収載され、一般の医薬品と同じ扱いがなされます。「日本薬局方」収載品目については、各論の説明文の中で(生薬名の後)に日局の文字で表記しました。 薬用植物は文字通りクスリであり、利用の仕方によっては「毒」としての作用も生じます。ここでは植物に知られている一般的な薬効を記述したが、実際の活用に当たっては、用法や用量について専門家に相談してください。しゅう ち