ブックタイトル青葉山植物図鑑

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概要

青葉山植物図鑑

ア●●●● 高浜町の有毒植物各論ヒヒヨドリジョウゴ/フクジュソウ特 徴 多年草で、茎は細長くつる状、全体に腺毛が多い。上部の葉は倒卵披針形であるが、下部の葉は1~2対の深い切れ込みがある。葉柄はねじれ他物にからむ。花期には、ナスに似た小さな白花をつける。花後に、球形で透明感のある径8mmほどの赤い果実を房状に多くつける。生薬名 白ハク英エイ(全草)、白ハク毛モウ藤トウ毒 性 薬用では、疥癬、うるしかぶれに外用するが、外傷などがあり、有毒成分が血液中に入るおそれのある場合は使用してはならない。全草、特に果実にステロイド系アルカロイド配糖体のソラニン、ソラソニン、ソラズルシジン、ソラマリンなどを含む。ソラニン類は有毒アルカロイドであり、頭痛、嘔吐、下痢、瞳孔散大などの中毒症状を起こし、運動中枢、呼吸中枢の麻痺によって死に至る。和名 鵯上戸分布 日本各地生育地 山野の路傍など有毒部位 全草、特に果実花期 夏~秋(8~9月)果実期特 徴 多年草で、草丈は15 ~ 25cm になる。早春に、新葉とともに径3cm 位の黄色い花を1個つける。日が当たると上向きに平開する。やがて茎が伸び、羽状に細かく切れ込む複葉を互生する。夏になると地上部が枯れる。生薬名 福フク寿ジュ草ソウ根コン(根および根茎)毒 性 古くには浸剤・チンキ剤とし、強心・利尿薬としてジギタリスの代用にしたが、用法を誤れば人命にかかわる。一般は決して用いてはならない。全草に強心配糖体のシマリン、シマロール、ソマリンのほか、コルコロサイドA、コンバラトキシン、ストロファンチンなどを含む。シマリンはジギタリス配糖体(猛毒)と類似作用があり、ウサギに投与すると少量で心臓の拍動を増強活緩徐にし、血圧がわずかに上昇する。カエルの露出心臓に滴下すると、初め拍動を増強、緩徐にし、ついで不整になってぜん動状を呈し、収縮期に停止する。死亡事例1992 年4月徳島県において、8年間も心臓病と糖尿病を患っていた76 歳の女性は「フクジュソウの根を煎じて飲めば心臓によい」ということを誰かから聞いたか、何かの薬草本などで読んだのを思い出した。そこで近くの山から採取してき、根を洗い乾燥した。6日後に2?のやかんに10cm ほどの根の束(10g 前後の重量と思われる)を投入し、煮詰めて煎じた。量的には不明だが、一般に煎法は半量まで煮詰めるから、長時間要したと思われる。その煎液を茶碗で服用した。高齢の夫も服用を進められたが、まずくて少量でとどめた。その直後に異変が起きた。突然激しい嘔吐と腹部の激痛に襲われ、居合わせた長男の妻が驚いて病院に運んだが、76 歳の女性はそのまま死亡した。夫は内服量が少量だったため、その後回復した。具体的な致死量は不明だが、この中毒事例からシマリン約40.5mg 程度と推測できる。和名 福寿草分布 本州、九州生育地 山の樹陰、庭などに栽培される。有毒部位 全草花期 早春(2~4月)開花期有毒部位有毒部位ナス科ヒヨドリジョウゴSolanum lyratum Thunb.キンポウゲ科フクジュソウAdonis ramosa Franch.全 草全 草